キャスト・アウェイ

孤独な映画

そんなこんなで昨日見た映画、キャスト・アウェイについてぼんやりとした感想を書きなぐっていこうかと思う。

充実した生活

フェデックスという物流会社に勤めるこの物語の主人公、チャックは時間に厳しい人物だ。各地のセンターを回りながら、「迅速に物を運ぶ」ということを第一にし、それを労働者に伝え管理するような職に就いている。自らフェデックスでタイマーを自分宛てに送り、輸送にかかった時間を計って労働者の戦意を高揚したり、時には現場に出て警察の規制に引っかかった配送トラックの荷物分配を指示したり…。

序盤ではこの分刻みのスケジュールをこなすチャックに目眩がしてくる。10分!とかあと2分!とか叫ぶシーンが多く、”宅配学”自論を滔々と、熱っぽく身振り手振りを交えて語る姿や、それと対照的に描かれるクリスマスシーズンの様子などで『忙しく充実している人生』のエネルギーが伝わってくる。

きちんと伴侶候補も居るし、とんでもないリア充である。しかし、結婚を仄めかし、クリスマスプレゼントに結婚指輪を贈ったあと「すぐ戻ってくるよ」などとわかりやすいフラグを建築したところからこの映画は始まっていく…

漂流

映画の題であるキャスト・アウェイは漂流・難破・世間から見捨てられた者という意味があるらしい。全体として見て正にタイトル通りの映画であった。

帰ったら結婚するフラグのチャックは、なんかプライベートな飛行機に乗って仕事へ向かう途中、ひどいスコールに遭い無人島に漂着する。一緒に乗っていた操縦士や補佐などは頭を打つか冷たい海の底へ沈むなどして死んでしまう。

ここからはお決まりの無人島(お一人様)コースの始まりだ。水を求めてココナツを割ったり、飯を食うために魚を捕まえようとしたり、木の棒をくるくるして火を熾そうとしたりである。このベーシックなケースにスパイスとして『共に漂着した宅配物』が混じる。最初は品物に手を付けなかった彼も、困窮とともに次々とダンボールを開いていく。記憶に残ったのはスケート靴だろうか。なにもない島において、ブレード状の金属はチートアイテムじみていた。

主人公はここで4年間も生活する。遠くの岩から木の投モリで魚を串刺しにできるほどのプロになるまで、宅配物だったボールに描いた顔と話しながら。

脱出、そして

多くの漂流ものと同じく主人公はなんかかんや脱出に成功するのだが、物語はここで終わりではない。TV越しに喜ぶ群衆と同じく、パチパチパチ、命が助かって良かったね、ハッピーエンド!ではない。

この喜びと孤独の、無人島と都会の対比が真に迫った美しい映画だった。

Wikipediaにはあらすじと称して始めから終わりまで書く集団が全部書いてしまっているが、あの雰囲気はとても良かった。

非常にスッキリした映画だったので、また見るかもしれないな。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください