ある日どこかで 感想

純愛SF、時を越えるための愛。カルト古典としても有名らしい。

僕は純愛というジャンルが苦手で、というのもどうも愛だの恋だの一目惚れだのが今だによくわからなくて、僕には程遠いものに見えつつも共感できるところはいたく共感できてしまうところが一生を無縁で過ごすためのスパイスであり麻薬のようにしか思えないからだ。

この映画はただ己の意志によってのみ、自己暗示だけで過去へタイムスリップしてしまう類の、言ってしまえば根性論なSF映画である。気持ちだな、気持ち。

心情を深く描写するカメラ回しが実に印象に残る。後はクラシックと眼だ。

眼、綺麗だ。こういう愛の関係する映画には必須のアイテムなんじゃないか?息遣いも演技の一部だということをありありと感じさせてくれ、視聴者を映画に没入させてくれる。

一度過去に戻ったものがもう二度と過去に戻れない理由とか、多分とても単純明快なものだろう。レトロスペクティブという概念自体が最早自己暗示を不可能にさせるんだね。

だから、主人公からしたら過去へ戻るわけではなかった。行くんだ。未知の過去時間は航行可能な未来時間との差異がほとんど無かったのだし、夢物語として理にかなっている。

いい映画だった。間違いなく。もう一度観たいと思える映画だったろう。